特に出来が悪いとか覚えが悪いとかいう子について、親は過少評価してほしくないのです。
例えば、小学校時代は遊んでばかりいる、中学校時代は喧嘩ばかりしているというような子どもがいたとします。高校に入ると学校をサボるのがなかなかうまい。学校へ行って来ますといいながら映画を見たりパチンコ屋へ出入りしたりします。
親も人間ですから、カッと来るのは当然で、そうなるなとはいいません。腹が立ってブンなぐって矯正しようとしたり、勉強部屋に閉じこめたり、遊び仲間から遠ざけたりする親も多いかもしれません。
しかしそういう子どもが世の中に出ると、実に上手に世渡りするということがあるわけです。会社の中で上司が「おまえはこれをやれ」というと「あっ、ちょっと待って下さい。私はこちらをやらなきゃならないので」とスッと上手に逃げてしまう。その代り、ここがチャンスだと思ったらキッチリと仕事をして成功して行く。そういうことがあるわけです。こういう子どもは世の中に出てから強さを発揮するという天性を持っているのです。
出来が悪いからといって、親の力で押えつけることはその子にとって決してプラスにはなりません。人間というのは、必ずどこかに良さを与えられているんです。その良さが発揮出来るまで時間がかかるかもしれませんが。世の中に出てから要領のいい子というのは、子どもの時代(時間)には良さが出て来ない。つまり時間が味方していないわけで、三十代、四十代という時間が来たときにはじめて、時代(時間)が味方してくれるんです。そういう子どもが多いのです。
親にはそのことを知っておいてほしいんですね。子どもには何か一つくらい良いところが必ずあるでしょう。欠点ばかりをいちいち指摘するのではなくて、その一つ良いところを見つめてあげることなんです。
ウチの子どもは遊んでばかりいる。しかし、よく遊ぶ子は遊びが特色なんです。遊びが上手な子は人を遊ばせるのも上手です。人に遊びを教えてあげるのが上手、そういう子は世の中に出て人に遊ぶことを教える職業にでもつくと成功するかもしれません。それがその子の持って生まれた”役目”だったりします。どんな子も、なんらかの役目を持って生まれてきています。それを親の思い込みや決めつけひとつでつぶすことだけは避けてほしいんです。
親と子の問題を考えるとき、まずはそのことに目を向けるべきでしょう。天の啓示は、子どもに何かを与えているだけではなく、子どもを見ることによって親にも考え方や生き方の何かを与えているのですから。
目次
第一章 「子どもとの付き合い方」
第二章 「子どもにタテ社会とヨコ社会を教える」
第三章 「子どもの性格・個性を知る」
第四章 「子どもに幸運をつかませるには」
第五章 「男と女・運命の違い」
第六章 「男と女で育て方が違う」